麻の世界・魅力The world of Hemp

麻Q&AFAQ

麻製品に関するよくあるご質問をご紹介いたします。

麻のズボンにしわがよってしまうのですが、どのような手入れをすればいいのでしょうか?

繊維の折り目と湿度に注意して手入れしましょう。

衣服にしわが残る原因は、麻繊維の性質や吸湿性に関係があります。繊維が太くて断面が丸いもの、そして織り方が粗雑である衣服ほどしわがよりやすいのです。そして繊維の吸湿性が高い場合もしわになりやすいです。これらの条件に合致する麻はしわになりやすい素材だといえます。しわを取るには、繊維の折り目を規則正しくし、湿度を取り除くとよいので、アイロンをかけるとよいでしょう。

繊維にはどのような種類があり、どの程度の繊維を扱っているのですか?

繊維には「天然繊維」「化学繊維」「合成繊維」の3つの種類があります。

そのうち天然繊維は「植物繊維」「動物繊維」「鉱物繊維」の3つの種類に分かれます。さらに植物繊維には「種子繊維」「じん皮繊維」「葉鞘繊維」「木質繊維」「根部繊維」の種類があります。綿は「種子繊維」に、麻は「じん皮繊維」に属します。

最近麻の服にハリがなくなって、白っぽく見えるのですがなぜでしょうか?

繊維のつなぎ目が起毛してくるためです。

麻の繊維には、一本の長い繊維で構成されているもの(単繊維)と複数の短い繊維をつなぎ合わせて一本の繊維を構成しているもの(複合繊維)があります。
複合繊維では、ペクチン酸が繊維をつなぎ合わせる糊の役目をします。
衣服を洗濯する場合、洗剤などによって糊の役目をしていたペクチン酸がはがれ落ちてしまうので、柔軟性が増し、繊維のつなぎ目が起毛してくるために白っぽく見えるのです。

「近江上布」は、どこで作られていますか?

滋賀県の愛知川、犬上、能登川、神崎地方で生産されています。

「近江上布」は江戸時代天明年間から伝えられている天明絣の手法が今でも受け継がれていて、着尺、縞絣、生平、座布団地などを生産しています。

夏用の衣服に麻を用いるのはなぜでしょうか?

麻の性能が夏の衣料に適しているからです。

麻は比重が軽く、比熱は生糸よりも少ない上に熱伝導性が高いので、体温をすばやく放熱します。そして麻特有の繊維構造によって、水分の移動が円滑に行われるからです。
比重とは、4℃の水1ccを1gとしたときに、物体の1ccの重量を表したものです。綿の比重が1.54gなのに比べ、苧麻は1.51g、亜麻は1.5gで、若干軽くなっています。比熱は1gの物体を1℃あげるのに必要な熱量のことで、絹が0.331calなのに比べ、苧麻と亜麻は0.321calとなっています。その上、水分の増加に伴って熱伝導性も高くなるので体温を素早く放出させるのです。
また、麻の繊維は芯の部分が空洞になっていて、この部分を中空といいます。吸収した体表の水分を中空部分に貯めておいたり、その水分を放出することができるので肌はベタベタしません。だから夏の衣料に適しているのです。

災害時用の土のうに麻を用いたのはどうしてですか?

麻は水に強く、積み重ねても崩れにくい特徴があります。

麻は張力による変化が少ないので引っ張ってなかなか伸びません。
ある一定の長さの繊維を引っ張って伸ばした時の力と伸び具合の関係を強伸度といい、グラフに表したものが強伸度曲線です。グラフが示すように、麻は力を加えても伸度は低いままであることが分かります。
特に、湿潤時(濡れた状態)の強度は、乾燥時に比べて20%増すという研究結果も出ています。このことは水に強いということを示し、麻の大きな特徴の一つです。
また、範囲を徐々に広げながら引っ張った時の力と伸びとの比率を弾性率(ヤング率)といいます。羊毛は246、綿は1340、苧麻で3400という結果が出ていて、麻は弾性率が最も高い素材といえます。そして、弾性率が高い繊維ほど引っ張るのに力を必要とし、肌ざわりは硬くなります。
濡れるとますます強度が増し、表面がざらざらしているので積み重ねても崩れない。だから災害用の土のうには最適なのです。

「麻」って何科の植物?

麻の種類は多種多様です。

麻は世界中の色々なところで生産されていますので、生物学的分類もそれぞれ違ってきます。ですから「麻は××科の植物です」ということは一概には言えません。例えば、苧麻はイラクサ科、大麻はくわ科、黄麻はしなの木科というように様々な分類に分かれているのです。このように麻は多種多様なので、日本語ではこれらを総称して「麻」と呼んでいます。

繊維を定める基準はあるのですか?

繊維の直径に対する長さの比率によって、数値的に表現できます。

繊維は「細くて長い固体」というイメージから、繊維の直径に対する長さの比率(アスペクト値)によって、数値的に表現することができます。そしてこの値が1000以上であれば繊維と見なしています。例えば、繊維巾20μで繊維長38mmの場合、アスペクト値は1900となり、繊維と見なされます。麻では、亜麻で25000、苧麻で7000といわれています。

麻はいつ頃から使われるようになったのでしょうか?

麻の歴史は非常に古くからあります。

「人類が数千年前から麻を使用していた」ことは、過去の書物に記されています。
例えば紀元前の中国の書物「路史」には、炎帝神農氏の時代に苧麻を使った記述がありますし、「経書」(約4220年前)には苧麻を製織した記述もあります。古代エジプトではミイラを包んだマンミー布が麻ではないかとも言われています。日本では、古墳から出土する繊維は、絹よりも麻の方が多いと言われています。

衣料品などに利用できる麻にはどのようなものがありますか?

ラミーとリネンの2種類が「麻」として表記されます。

日本では、消費者保護の観点から品質表示法が制定されましたが、その中で、苧麻(ラミー)と亜麻(リネン)の2種類を「麻」として表記するようにしました。苧間(ラミー)は、繊維が太く長いことから資材用に用いられ、亜麻(リネン)は、繊維が細く短いことから装飾用に用いられています。その他にも羅布麻が1988年より試験紡績を始めていて、実用化されようとしています。

どのようにして繊維を採り出すのでしょうか?

精錬によって採取します。

繊維を採り出すには、茎内の表皮と柔軟組織が不要なのでこれらを取り除かなければなりません。これを精錬といいます。精錬には水や雨水に茎を漬けた後、バクテリアなどで発酵させることで、表皮や木片部を分解して繊維を採り出す発酵精錬という方法があります。これは昔から受け継がれている方法で、麻のごく一般的な精錬方法です。この方法で精錬すると薬品が要らないことからとても経済的です。精錬によって採取できる繊維は非常に少なく、亜麻(リネン)からは14~16%採取できますが、苧麻(ラミー)からは4~6%程度しか採取できません。

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